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遺留分紛争の弁護士費用はこれだけです

最終更新日 2019年 11月04日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

この記事を読むと、次のことがわかります。

相続が発生して、遺産がある場合、家族で話し合って円満に財産を分けるのが一番望ましい形です。

しかし、被相続人が生前贈与あるいは遺言等により、不公平な分け方をする場合があります。

そうすると、遺留分の問題が発生します。

一言で遺留分と言っても、法律的に難しい制度であり、わからないことが多いでしょう。

弁護士に依頼しないと解決しない場合の方が多いと言えます。

そこで、ここでは、遺留分請求をする場合、あるいは、遺留分請求をされた場合の弁護士費用について解説します。

この記事を読むと、次のことがわかります。

☑遺留分とは何か
☑遺留分は、どんな請求ができるのか
☑遺留分の請求方法
☑遺留分紛争は、どうやって解決されるのか
☑遺留分紛争の解決までにかかる時間
☑遺留分紛争の弁護士費用

ぜひ、最後まで読んでください。

遺留分とは何か

この記事では、遺留分を請求する場合、あるいは請求された場合の弁護士費用を説明しますが、いきなり弁護士費用の説明をしても、遺留分についてある程度理解しておかないと、意味がわかりません。

そこで、遺留分について、ある程度説明をしてから、弁護士費用について説明をしていくことにします。

しばらくお付き合いください。

遺留分というのは、被相続人が自分の財産を処分してしまっても、一定割合の財産を受け取ることできる相続人の権利のことです。

自分の財産は、自分で自由に処分できるのが原則です。

自分の財産を誰にあげようと、自由です。

しかし、その財産は自分一人だけで築いたとは言えず、家族の協力があってこそ、という場合は多いでしょうし、残された家族の生活保障も必要な場合が多いでしょう。

そのため、民法は、被相続人が贈与や遺贈等で財産を処分しても、一定割合の財産は取り戻すことができる権利を相続人に認めています。

これが遺留分制度です。

遺留分の権利を持っている人

では、遺留分として、財産の一定割合を確保する権利を持っているのが、誰でしょうか?

遺留分権利者は、相続人ですが、実は、兄弟姉妹には、遺留分はありません。

遺留分がない、ということは、被相続人が望まない場合には、兄弟姉妹に財産を残す必要がないということです。

つまり、被相続人が遺言により、自分の財産を兄弟姉妹以外の者に相続させ、または遺贈すれば、一切の財産が兄弟姉妹にいかない、ということになります。

また、内縁の妻にも遺留分はありません。

内縁の妻に遺産を残したい場合には、遺言を残しておくようにしましょう。

遺留分権利者が死亡した場合は、どうなるのでしょうか。

この場合には、その相続人が遺留分を行使することになります。

また、遺留分の権利は、譲り渡すことができるので、第三者が遺留分の権利を譲り受けて、遺留分権利者になることもあります。

【参考記事】
遺留分とは、どのようなものか?

遺留分とは、どのようなものか?

遺留分の計算方法

では、遺留分のというのは、財産のどのくらいの割合なのでしょうか?

これは、遺留分権利者が誰か、によって変わってきます。

遺留分の割合は、次のようになっています。

①直系尊属のみが相続人である場合  被相続人の相続財産の3分の1

②その他の場合           被相続人の相続財産の2分の1

そして、同じ立場の人が何人もいる場合は按分計算します。

たとえば、相続人が

配偶者、長男、次男

とします。

この場合の遺留分割合は、被相続人の相続財産の2分の1です。

この法定相続分は、

母 2分の1
子 2分の1

です。

したがって、配偶者は4分の1、子2人で4分の1です。そして、子が2人いるので、それぞれの遺留分割合は、8分の1ずつ、ということになります。

では、ここで計算の基礎となる相続財産は、いつの時点での財産なのでしょうか?

まず、被相続人死亡時に存在する遺産が含まれるのは当然です。

しかし、それに限りません。

遺留分の基礎となる財産は、次のように計算されます。

相続開始時の積極財産+贈与-債務

そして、この「贈与」というのは、生前贈与のことであり、誰に贈与したか、で計算が違ってきます。

また、相続法改正により、いつ開始した相続か、によっても計算が違ってきます。

ここでは、2019年7月1被以降に開始される相続についての計算を説明します。

(相続人に対する特別受益)
①特別受益に該当する贈与であり、
かつ、

②相続開始前10年間にされたものに限り、
その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入します。

ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した場合には、10年より前にされたものであっても、遺留分算定のための財産の価額に算入することとなります。

(相続人以外の者に対する生前贈与)
相続開始前の1年間にされたものに限り、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入します。

ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した場合には、1年より前にされたものであっても、遺留分算定のための財産の価額に算入することとなります。

遺留分紛争には期間制限がある

相続人には遺留分がありますが、遺留分の請求をするには、期間の制限があり、ずっと権利があるわけではないことに注意が必要です。

いわゆる消滅時効というものです。

遺留分の権利を主張できる期間は、次のように決まっています。

①遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間

②遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知らなかったとしても、相続開始の時から10年

したがって、相続があったことを知って、かつ、生前贈与や遺贈などを知った場合には、すぐに遺留分を主張しないと、何も得ることができなくなってしまう可能性がある、ということです。

逆に言うと、遺留分の権利を行使するか、しないかは、遺留分権利者の自由である、ということでもあります。

遺留分の請求は、こうする

それでは、遺留分の権利を主張したい、というときには、どうやって請求すれば良いのでしょうか?

その前に、遺留分の請求をした場合には、どのような効果が発生するか、を説明します。

この点についても、相続法改正がありました。

2019年7月1日より前に開始された相続については、「遺留分減殺請求権」という名称でした。

この場合に遺留分減殺請求権を行使すると、遺留分の限度で、生前贈与や遺贈の効力がなくなります。

つまり、生前に自宅の土地建物を配偶者に贈与していたところ、死亡後に子が遺留分減殺請求権を行使すると、子の遺留分である4分の1の限度で贈与の効力がなくなり、配偶者4分の3,子4分の1という共有状態となる、ということです。

そして、この共有状態を解消するのは、相続手続ではなく、通常の共有物分割訴訟などの民事訴訟で解決することになります。

しかし、相続法改正により、「遺留分侵害額請求権」という名称に変わりました。

何が変わったか、というと、遺留分侵害額請求権の行使により、共有状態になることがなくなり、「お金の請求」だけの権利になった、ということです。

先ほどの例でいうと、土地建物の共有にならず、土地建物の4分の1相当額のお金の請求ができるようになった、ということになります。

さて、その遺留分侵害額請求のやり方ですが、期間制限の期間内に意思表示をしたことを証拠化しておかなければいけませんので、内容証明郵便で「遺留分侵害額請求権を行使する」と意思表示をしておく必要があります。

法的に確実に行う必要があるので、弁護士に依頼して内容証明郵便を作成・送付してもらう方が良いでしょう。

遺留分紛争は、こうやって解決する

遺留分侵害額請求権を行使したら、次に話し合いを行います。

話し合いによって合意に達した場合には、その内容を書類にまとめて、当事者全員が記名押印します。

不動産の移転等を伴う場合には、合意と同時に所有権移転登記の書類等も取り交わす必要があります。

書類は、法的な不備があると、後日紛争になるので、必ず弁護士に作成してもらうようにしましょう。

話し合いがつかない場合には、訴訟となります。

遺留分減殺請求の場合には、民事訴訟による共有物分割訴訟などになり、遺留分侵害額請求の場合には、民事訴訟による金銭請求の訴訟になります。

こうなると、もう素人では解決は難しいので、弁護士に依頼するようにしましょう。

【参考記事】
遺留分を弁護士に相談する7つのメリットと2つの注意点

遺留分を弁護士に相談する7つのメリットと2つの注意点

遺留分紛争の解決には時間がかかる

遺留分紛争は、時間がかかるのが通常です。

なぜなら、遺留分紛争というのは、そもそも被相続人が財産を遺留分権利者以外の者に贈与または遺贈したような場合で、その意思を覆そうというものです。

また、遺留分侵害額請求をされる人は、一旦自分の物になったのに、それを取り戻されてしまう、ということです。

紛争になりやすい性質を持っているのです。

訴訟になるような場合には、半年や1年は普通にかかります。

自宅の共有物分割訴訟などの場合には、もっと時間がかかります。

また、どこまでの財産を遺留分の基礎財産にするか、で争われる場合も多いです。

そうなると、2~3年かかる場合もあります。

その間、ずっと裁判で争っていくことになります。

弁護士費用もそれなりに覚悟しておかなければならないでしょう。

遺留分紛争の弁護士費用

それでは、遺留分紛争の弁護士費用は、どの程度かかるのでしょうか。

弁護士費用は、主に次のようなものです。

①相談料
②着手金
③報酬金
④日当
⑤実費

(1)相談料
弁護士に相談をすると、相談料がかかるのが通常です。

相場でいうと、30分につき5,000円程度なのですが、法律で決まっているわけではないので、各弁護士が自由に決めることができます。

したがって、弁護士に相談する場合には、相談費用がいくらか、事前に確認しておく方がいいでしょう。

なお、最近は相談料を無料にしている事務所も増えてきているので、無料相談を実施している弁護士事務所を探してみてもいいでしょう。

ただし、遺留分に詳しくない弁護士に相談しても、的確な回答は得られませんので、ご注意ください。

遺留分紛争での弁護士の選び方

(2)着手金

弁護士費用は、一般的に、「着手金」と「報酬金」に分けられます。

着手金というのは、事件に着手する際にかかる弁護士費用であり、弁護士と契約をすると、はじめに支払うことになります。

この着手金は、事件で敗訴しても返還されないのが通常です。

手付金と考えると良いでしょう。

遺留分紛争の場合には、まず交渉を始める際に、着手金10万円~30万円、調停や裁判を起こす際に追加着手金、というように定めるのが多いのではないか、と思います。

ただし、事件の難易度や予想される時間等によって見積金額が変わってきます。

弁護士費用が安ければいい、というわけではありませんので、この点はご注意ください。

弁護士費用は、弁護士が自分で自由に定めることができるので、このような着手金・報酬金制度ではなく、弁護士が使った時間によって費用を計算する「タイムチャージ制」が採られることもあります。

また、調停や裁判等の場合には、「1回の出廷につき●●円」というような制度になることもあります。

どのような弁護士費用の体系になるかは、事前によく確認しておくことが大切です。

③報酬金

報酬金は、事件が終了した際にかかる弁護士費用です。

「経済的利益の●%」などというように、成功の割合によって定めることが多いでしょう。

あるいは、「解決した場合は●円」というように定める場合もあります。

一般に「成功報酬」と言われるものです。

④日当

日当は、弁護士が外出したり、裁判所に出廷したりした場合にかかる費用です。

回数が多ければ多いほど費用がかかってきますので、日当があるのかないのか、契約書でよく確認しておくことが必要です。

⑤実費

実費は、交通費、印紙代、郵券代など、実際にかかった費用です。

なお、参考までに過去に日本弁護士連合会が定めていた、民事訴訟の際の報酬基準を掲げておきます。

■ 着手金(税別)
事件の経済的利益が300万円以下の部分 8%
300万円を超え3000万円以下の部分 5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の部分 3%+69万円
3億円を超える部分 2%+369万円
■ 報酬金(税別)
得られた経済的利益が300万円以下の部分 16%
300万円を超え3000万円以下の部分 10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の部分 6%+138万円
3億円を超える部分 4%+738万円

遺留分紛争での弁護士の探し方

医師に専門があるように、弁護士にも得意不得意があります。

遺留分紛争は、相続に関する知識とともに、親族間の紛争なので、ある程度の経験による落としどころの見極めも必要になってきます。

したがって、弁護士としての経験がある程度あった方が良いでしょう。

また、相続に関する書籍等を出版していれば、相続に関する知識が豊富であると推測できます。

弁護士に依頼する際には、実際に会ってみて、納得の上依頼するようにしましょう。

また、必ず契約書を締結し、契約書で弁護士費用について確認することを忘れないようにしてください。

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